Tuesday, July 09, 2013

イノベーション 5つの原則

SRIインターナショナル社長兼CEO カーティス・R・カールソン、モンタナ大学名誉教授 ウィリアム・W・ウイルモット共著の書籍である。もっとも実績に基づく研究成果といえる。

・イノベーション 五つの原則という考え方を提示している。

 1.真の顧客ニーズ:顧客と市場にとって重要なニーズに取り組む
 2.価値創出:顧客価値を迅速に生み出す
 3.イノベーションンをリードするチャンピオン:イノベーションを率いる適任者によって価値創出                              プロセスを推進する
 4.イノベーション・チームの構築:様々な分野の専門家を集めた混成チームを作り、天才レベ                       ルの集合知を実現
 5.組織の方向付け:組織全体の方向性に合致させ、価値の高いイノベーションを体系的に創出

・顧客価値を提案をする方法とは、NABCと提示されている。

 N(Needs):顧客、市場の需要は何か?
 A(approach):その需要の応えるため日どのようなアプローチがをするか?
 B(Benefits per cost):そのアプローチの費用対効果は?
 C(Competition):その費用対効果は、競合と比べてどうか?

・チャンピオンは、何をなすべきか?
 チャンピオンは、意欲と決意を持ってプロジェクトに取り組む。ビジョンを揚げ、チーム・メンバー 
 やパートナーを触発し、全責任を負ってやり遂げる。
 チャンピオンは、チームメンバーを巻き込み、価値亭あの改良を続け、思いがけない問題にも適 切に対応する。継続的に見込み客に接触し、プロジェクトの進捗によって得られる新しい情報を、 価値提案に盛り込む。
 チャンピオンは、目の前の問題に真正面から取り組むと同時に、長期的なビジョンをしっかり見
 据える二つの視点が必要である。

 To be continued.



Thursday, October 20, 2011

革新的なアイデア創出の研究テーマについて

昨晩、東大大澤西原研究室のゼミに参加しました。新たな革新的なアイデアを創出するには、下記条件が必要であると再確認しました。

1.需要者の欲求、要望、需要の正確な把握
2.需要者の欲求、要望、需要を満たすための専門知識と経験
3.新たな技術や専門知識を学習する能力
4.既存知識と経験に新たな技術や専門知識を組み合わせて具現化できる創造力

創造されたアイデアや商品概念を市場の顧客に満足してもらうために具現化する方法も必要です。

1.顧客を満足させる概念の仕様化
2.ビジネスとして収益確保が出来る仕組み
3.事業として立ち上げるための資金計画、運営方法、運営組織、戦術、行動計画などの策定
4.製品開発から事業開始迄のプロジェクト管理
特に、プロジェクト管理については、下記の項目が重要となります。
①プロジェクト存在の認識
②プロジェクトが達成すべき事柄の認識
③ゴールの設定
④利害関係者の期待の明確化
⑤プロジェクトスコープの明確化
⑥プロジェクトメンバーの選定

上記の内容をいくつかのステップに分けて、研究テーマとしていきたいと思います。

Sunday, October 09, 2011

際立った消費者の要望が重要

研究室にてInovation Game®をさらに改善させ、実務に適した内容にするにはどうしたら良いかとの議論を行いました。 消費者側から際立った欲求、要望、不満などがでると供給側から良いアイデアが出しやすくなる傾向にあると推測される。
やはり、消費者の要望の程度の高さが、独創的なイノヴェーションを創出するのではないかとの意見が出てきた。そのための方法として、特定のテーマに不満を洗いざらい出す。次に、特定テーマにおける特定製品の仕様を書き出し、その仕様の概念をすべて否定し、他の仕様を考察し要望提案してみる。このことにより、消費者側に既成概念がなくなり、より自分の欲求を表出させやすいのではないかと仮説を考え出した。

Thursday, July 21, 2011

中断していた研究を開始予定

台湾に駐在していたため、研究を中断していました。5月に日本へ本帰国し、新たな仕事にも慣れてきたので大学院の研究室に戻り、研究を再開したいと思います。
来週O先生との面談で、研究方針を決定したいと思います。

Friday, September 24, 2010

「未来の売れ筋発掘学」に研究成果が掲載されました

2010年8月に研究室から、発刊された書籍に研究成果が掲載されました。
東京大学工学部 大澤・西原研究室著大澤幸生・編「未来の売れ筋発掘学:~データマイニングを超えた価値センシングの技術~」ダイヤモンド社(2010・8) 2520円

Tuesday, September 08, 2009

気付きの重要さ

最近、供給者側の製品に対する消費者の欲求に基づく購買行動との間に大きなギャップが生れていることに気付き始めました。
特に、Webで新製品の宣伝を見ていると、顕著です。
このギャップを供給側が調査段階で気付けば、莫大な開発費と製造費や時間をかけた新製品の販売が、もっと上手くいくはずです。今までは、必要な製品を購入していたケースが多かったのに、最近では人の感性や潜在的な欲求(自分でも気付かない)に基づく、消費行動が多くなってきています。
この行動を分析するには、まだ科学的な手法が十分確立していない気がします。
なぜならば、自分でも気付かない欲求や何となく良いからという潜在的な感性に基づく購買行動を取っているため、アンケート調査やデータに残らないからです。
では、それを発見するにはどうするのか?結構面白い研究テーマですね。
今は、アイデアを言えません。

Sunday, August 30, 2009

ダイヤモンド社の書籍原稿を出稿しました

今年は、ダイヤモンド社から研究室の研究成果を纏めて書籍にすることが決まり、私の研究も掲載されることになりました。
2ヶ月間も推敲し、複雑な計算式を除外し、簡便な言葉に変えて、論文を書き直しました。少しは、一般の方でも理解してもらえるようになったかもしれません。

次回の研究は、顧客の潜在欲求と供給側製品の顧客への提案との違いを明示し、そのギャップをどう埋めていけば良いか創案できるプロセスを作ろうと思う。現実的に、このような需要は企業側にあると思う。マーケティング調査による統計処理やデータマイニングなどの分析で、需要や欲求を調査し、製品開発をしているが、現在の分析方法では精度がかなり落ちて、失敗率が高いのが実態である。マーケティング担当者の方すみません。そしてご苦労様です。

Tuesday, August 04, 2009

データ結晶化のアルゴリズム

データ結晶化のアルゴリズムは、下記のステップで構成されている。

1.バスケットデータの全てのノードペアのJaccrad係数を計算する。
2.Jaccard係数の大きいノードペアが集まるようノードをクラスタに分類する。

3.クラスタに分類する際の手法として、K-Medoids法を利用する。
4.ダミーノードを各バスケットデータに挿入する。
5.Jaacard係数の高いダミーノードを選択して表示し、他は削除する。
  クラスターのノードとダミーノードとのの共起性は、下記の式で計算する。


ダミーノードは、クラスター内のJaccard係数の最も高いノードとリンクされることになる。
今後、Dummy Nodeとリンクするクラスターのノードのデータを参照に、各々の関係性を明示したうえでクラスター間の関係を考察するというように精度を上げて、新たなシナリオを考察したいと思います。
ただし、精度を上げた解釈により、ユニークな新たなシナリオが生れるかどうかは、新たな研究課題になると思います。この課題は、別の実験を組み立ててそのプロセスを考察する必要があるでしょう。

福耳 「星のかけらを探しに行こう」が今の気分にぴったり



今週のサマーワークショップで、今まで眠っていた研究者の魂が目覚めたようです。昨晩も、色々考え始めてしまし、眠れませんでした。次から次から、色々なアイデアが生まれてきます。早く実験したい気分です。時間を作って開始しましょう。
今の気分は、福耳の「星のかけらを探しに行こう」という曲がぴったりな気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=E_v-VC2PEtY&feature=email

フレームの中の絵と外側の時空間

フレームで飾られた絵には、作者が表現したい内容が色々な色彩やデザイン技法で描かれている。
絵を何度も繰り返し見ていると、その表現内容が少しづつ理解でき、作者と共感できるようになる。この共感できた時が最高に感動し、喜びにあふれる気がします。
でも、最近フレームに切り取られた絵の内側ではなく、作者が居たであろうフレームの外側の時空間はどのようになっていたのだろうかと考え始めました。
例えば、窓の外の風景を除くと、視点によっては、風景が切り取られ、その外側の風景は、わからなくなります。海辺の田園風景だとすれば、窓から田園風景だけを切り取って見ると、田園に隣接する海辺の青さなどが消えてしまい、どこにでもある田園風景になってしまいます。

それでは、窓のフレームで切り取られた外側の海辺を感じるにはどうしたら良いでしょうか?

流れてくる潮風の匂い、微かに聞こえる波の音、肌に感じる日差しの強さと光の色合い、など視点とはことなる知覚を研ぎ澄ませれば、感じることが出来るかも知れません。

人の欲望を、行動や言葉だけで知ることは出来ません。色々な知覚を鋭く働かせることで、感じることが出来るかもしれません。

やはり、環境にある事象を知りえる事実だけから判断するのは、環境の本当の変化を感じることが出来ません。知りえる事実以外の事象を知覚を鋭く働かせることで、感じることが出来るかも知れません。

私の研究は、そんな絵のフレームの外側を感じ、感じたフレーム外側の事象と他の事象を関係付けながら、新たな発想を促すようなプロセスを開発して見たいと思います。

Monday, August 03, 2009

真理大学のサーマーセッションが終わりました









8月2日~3日の2日間で真理大学で開催されたService Innovationのサーマーワークショップが無事終了しました。
東京大学大学院の5名の先生に加え、真理大学、台湾政治大学、亜東技術学院、銘傳大学からも教授が参加され斬新な研究内容の発表がありました。大橋先生、古田先生、菅野先生、大澤先生、西原先生の研究も大変興味深く、聴講者からも活発に質問が出ていました。
来年は、台湾以外の場所で開催することになりそうです。台湾の先生から、学校にてプレゼンテーションをして欲しいとか、共同研究をしようとかという話が今回ありました。
今まで、頓挫していた研究を進める良い機会になりそうなので、積極的に動き始めようかと思います。

Sunday, July 26, 2009

真理大学サーマーセッション


8月2日から3日に真理大学でサーマーセッションが開催されます。
3日に特許からの新規製品シナリオの創発を促す手法についての研究発表を行います。
その後は、東京大学大学院の大澤先生ご一行と真理大学の先生達を交えた懇親会があり、久々に最近の研究成果についてお話が伺えるので楽しみです。

Sunday, July 12, 2009

Value sensingについて


2009年8月2日ー3日に台湾淡水にある真理大学で、東京大学の5名の教授を招待し、セミナーが開催されます。大澤先生は、最近日本で話題になっているValue Seningの研究について発表します。

最近は、Innovation Gameというゲーム形式の手法で、新たな価値に気付き、プレイヤー間の会話を通じて、新たなアイデアや製品の提案をすることが可能になります。



Saturday, May 03, 2008

キャズムを乗り越える方法はあるのか


ジェフリー・ムーアのテクノロジー・ライフサイクルにおいて、越えるのが最も難しい溝。アーリー・アドプターとアーリー・マジョリティーの間のクラック。アーリー・アドプターは”変革のための手段”を求めるが、アーリー・マジョリティーは”現行オペレーションの生産性を改善する手段=変革ではなく進化”を求める。キャズムを越えるということは「先行事例と手厚いサポートを必要とする顧客を、有効な先行事例と強力なサポート無しで攻略しようとすること」なので難しい。ひとまず自分が何派かは置いておいて、ブログ技術が今、テクノロジー・ライフサイクルのどこにあるのか?を考えると、まさにキャズムに指しかかろうとしているのでしょうか。書籍では「ハイテクをブレイクさせるマーケティング理論」と副題がついている通り、企業がハイテク製品を売り出すにあたって、どのようにキャズムに向き合うべきかが論じられています。
新規性の高い特許技術と既に市場で活用された既存技術に関する調査データに基づいて、データマイニングを行うと、Majority市場が受け入れた共通技術が大きなクラスターとして現れるはずです。
新規性の技術は、そのクラスターに属さず、孤立した小さなクラスターを形成しているでしょう。
キャズムというのは、まさに大きなクラスタと孤立したクラスタが全く関連性が無く、クラスタ間が結びついていない状態を示しています。
では、その孤立したクラスタをいかに大きなクラスタに結びつけるかが重要な着眼点となります。
すなわち、既存技術と新規技術が結び付けられる要素を探すことになります。
それは、クラスター間を結びつけるGate Keeperを探すことにも通じます。
この観点で、データ間を無作為に結びつけ、稀な関係性を見つけ出すような手法が、Inovetion技術をキャズムを超えてアーリマジョリティに導入させる手法に通じます。
この観点で研究を新たに始めたいと思います。

Saturday, March 29, 2008

気づくこととは?

普段の生活を送る中では、生活のパターンはほぼ決まっており、大きな変化が周辺に無い限り、新たな気づきを得ることは困難である。それでは、人は何故インスピレーションを得るのであるのか?
何か、突然ある刺激が感覚器官に与えられて、普段感じない微妙に異なる感覚の違いが、インスピレーションの原因であろう。すなわち、違和感であったり、見慣れない現象を見ることであろう。
人の生活は日々変化に富んでおり、時間軸や空間の異なる場所により変化がある。しかしながら、その変化は日常の普段の状況の裏側に隠れていたり、気づかないほど微妙な変化であったりする。
好奇心を持ち、変化に注力することにより感覚器案の感度を高め、気づくことが可能になるはづである。しかし、可能であればその変化を浮き彫りに表出させる技術が望まれる。そうすれば、感覚器官の感度ではなく、誰でも気づくことが可能になるからである。
そのためには、無関係の事象に注目する、隙間に注目する、存在しない空間に注目する、表出した事象の裏側に注目する、時間軸を短縮して変化に注目するなどが考えられる。
そのための、システム的な方法を考えたい。

Wednesday, February 13, 2008

U理論

U理論の3つの工程を具体的にグラフ化したものが左の図です。
全体を見るセンシングから、その事実を素直な気持ちで受け入れるプレゼンシング、そしてその出現しようとするものに対して行動を起こすことが示されています。

Thursday, January 31, 2008

バンコックの天空の場所に行きました









先日、タイのバンコックへ出張しました。何度も訪問している街ですが、世界一高いオープンエアーのバーがあるとは、知りませんでした。友人に連れられて、Chao Phraya 川の側にある、Dome at State Towerというビルの63階にある、SIROCCOを訪れました。エレベータから降りて、外に出ると360度バンコックの燦燦と煌く町並みに全景が見えます。さらに、夜景を見下ろしなら、数十段の広い階段をお城の頂上から下りるように、10M位下のバースペースに下りていきます。この過程で、バンコクの夜景と一体化した感覚を味わえます。


バーは、大型のラウンドテーブルになっており、その周辺で立ちながら夜景を鑑賞しながら飲みます。外側のフェンスは、ガラスでできており腰の上ほどの高さなので、まるで、バースペースだけが、夜景浮き上がってあるような錯覚を覚え、本当に夜景と一体化できます。Chao Phraya川から吹き上げる風に吹かれながら飲んだマティニーの味は、今まで飲んだマンハッタンのマティニーを凌駕しました。


最高の夜でした。

ピーター・センゲの「出現する未来」のU理論


「学習する組織 (Learning Organization)」のMIT教授 ピーター・センゲが、人格そのものの成長を促す企業や個人のあり方を「出現するう未来」にて説明しています。局所の幸福が最大で全体が不幸になるという現在のシナリオは破滅に陥ると考え、より皆が豊かになれる方法を模索し、その人格成長を前提とした問題解決の方法を「U理論」として本書で紹介しています。
この「U理論」とは、二元論的な判断を中止し、静かに全体を内省することで、より正しい行動が直感的に生まれ、結果として自然に、素早くできるようになるという考えです。
この方法はシンプルな3つのステップで構成されています。
第1ステップ(Sensing):世界と一体化すること。
 あなたが現在持っている知識・経験・信念・価値観・枠組みなどをいったん手放し(留保し)、あなたの前に起こっている現象の集まりを、できるだけ「ありのままにあるように」見て、「そのままに」聴きます。このとき既存の概念等による分析は避けます。
第2ステップ(Presensing):後に下がって内省すること。
 第1ステップの状態を保ちながら、静かに待ちます。閃きや直観としてもたらされる、そこからの答えを全面的に受け入れます。
第3ステップ(Realizing): 自然に素早く動くこと
 得られた答えを、積極的に活かしていきます。現状の詳細な分析・検証とともに、第2ステップでもたらされた答え、アイデアなどを使って、実際の活動(プロトタイプ)に生成していきます。そして実行を通して得られるフィードバックを「ありのままに」観察・検証し、行動を修正し、新たな活動をする。

U 理論の名称の由来は、この三段階の最初のSensing が、自己が世界へ下りて一体化してゆく感じであり、Presencingはその深い世界を感じ、最後に Realizing で上へ上へと上るという全体のイメージが、「U」という字を連想させることからきています。
3つのステップの Sensing, Presencing, Realizing はさらに各々三つの状態に分けられます。
Sensingは、
1.保留 - 状況に埋没している二元論的な判断を保留
2.転換 - 世界全体への視点・態度の転換
3.手放す - 我執などを捨てること。これは presensing にもかかわる
Presencingは、
1.手放す - sensingにもかかる。
2.受容
3.結晶化 - 気づき(Mindfullness)が明確に現れること。これはrealizingにも関わる
そして、最後の Realizing も同様に以下の三段階があります。
1.結晶化
2.プロトタイピング - 原型作り
3.システム化
Sensing と Presencing の中間の「手放すこと」と、Presencing と Realizing の中間の「結晶化」は、両方に含まれますので、全体としては 3 * 3 - 2 = 7 つのプロセスになります。このプロセスの中で、個人や組織の学習や成長がはかられ、複雑な問題にも有効に対処できるということです。

この理論の実践をする最初の過程であるSensingにおいて、多くの混乱、抵抗が生じます。その理由は、あなたが「これが私自身である」と思い込んでいる、あなたの価値観・信念・生活様式など(ビリーフ)が、あなたの取り組みの邪魔をする、「制限となる」からです。そのようなビリーフを一時的に保留するために最も有効な方法は、瞑想であると書かれています。

大沢研究室において、「チャンス発見」から新たに価値や価値観の吹き出し口を嗅ぎ出す「バリューセンシング」(http://panda.q.t.u-tokyo.ac.jp/~gutsu/workshop.html)という研究が提案されています。その研究におけるひとつの手法として、「イノベーションゲーム」が発案され、ゲームを通じて新たなアイデア、提案、シナリオが創造されています。その過程と比べるとU理論のステップにおける手法とは大きく異なる箇所があります。
すなわち、Sensingにおいて、U理論の提案する「瞑想」による世界との一体感ではなく、ゲームに参加する参加者がゲームという「仮想の場」において一体化し、参加者間が相互に理解しあう過程です。
「イノベーションゲーム」は、局所的な又は、仮想的な場における未来に出現する可能性のあるアイデアを創造します。「U理論」では、大局的な自然との一体化によって、大いなる目的に突き動かされて、自然と共に創る行動を行うという目的の違いが、大きく異なる要因でなないかと思います。


U理論における瞑想については、本書でも南懐瑾(ナン・カイキン、香港の中国語圏で非常に有名な学者。四書五経、仏教、道教などの東洋の学問の他、武術、医術も達人らしい)の瞑想の7段階との類似が指摘されています。
 意識
 停止
 平静
 静寂
 安穏
 熟考
 到達
違いは、「U理論」と比べると「実現 realizing」の過程が少なく、より世界の静けさを直視するところに重点が置かれていると言えるでしょう。
恐らく直感を有効に利用する、瞑想のパターンはどれも同じようなものになるのだと思います。
ヨーガと仏教の方法論も参考になります。
ヨーガ(8段階)
 ヤマ - 戒め
 ニヤマ - 心掛け
 アサナ - 姿勢・ポーズ
 プラナヤマ - 呼吸の制御
 プラティヤハラ - 意識の制御
 ダラナ - 集中
 ディヤナ - 熟考
 サマディ - 一体化
これは「U理論」や南懐瑾の瞑想と比べても、その以前の段階(戒めや姿勢、呼吸の制御など)が多いと言えるでしょう。
また、仏教の八正道は以下の通りです。
 正定 - 禅定の「定」。坐禅。正しい心身の定まり
 正念 - 正しい気づき
 正精進 - 正しい努力
 正命 - 正しい生活
 正業 - 正しい行い
 正語 - 正しい言葉遣い
 正思惟 - 正しい思考
 正見 - 正しい見識
これは、ヨーガと逆に、「実現 realizing」 の部分に重点が置かれています。そこで得た知見を元に努力して、生活を変え、行いを正し、最終的に思考もただして、正しい見識に到達しようというものです。
一方仏教では「三学」と呼ばれる修行方法も提唱されています。
 戒 - 戒め
 定 - 禅定。坐禅
 慧 - 智慧
これを含めるとヨーガと同様に戒めも大きなウェイトを占めます。三学は全体の道筋であり、「八正道」はその一部であり、戒めは当然守っているというのが前提です。
また、七覚支(bodhi-anga / bojjhanga)も参考になります。
 sati-sambojjhanga 念覚支 - 気づき。
 dhamma-vicaya-sambojjhanga 択法 - 法 Dharma として現象が分析される
 viriya-sambojjhanga 精進覚支 - 努力(ただし、自然に湧いてくるようなやつ)
 píti-sambojjhanga 喜覚支 - 喜び
 passaddhi-sambojjhanga 軽安覚支 - 心の静まり
 samādhi-sambojjhanga 定覚支 - 一般に禅定と呼ばれる状態。統一。
 upekkhā-sambojjhanga 捨覚支 - 落ち着く。
「U理論」「南懐瑾の瞑想」ヨーガ、仏教などで、直感知を利用しようという姿勢は同じながらも、視点や目標の差による微妙に違いがあります。

Sunday, January 13, 2008

ベトナム訪問



先週、初めてベトナムのホーチミンを訪問しました。

一橋大学大学院米倉先生の講義を4-5年前に受講した時に、ベトナムに訪れた時の印象を「街の活況に膝が震えるほど感動した」との説明を受けたことを思い出しました。

ホーチミンの町並みは、人々がバイクで行き交い、その数は台湾を越えています。まるで、数十年間に初めて台湾を訪問した時の街のエネルギーを感じました。

町全体は、清潔に管理されており、道路にごみも無く、非常によく管理されています。

人々も友好的で、笑みを絶やさず、アオザイを着た女性の姿も凛々しく感じました。

食事も、生春巻きや米粉の麺をあっさりしたスープで食べるパオなど、全体的に野菜を中心にしたものが多いようです。

今回は、2日間の訪問でしたが、次回は少し時間を割いて街の観光やハノイまで足を伸ばして、ベトナムの調査をしたいと思います。

Monday, December 24, 2007

主体性と組織力を高めるAI:ポジティブチェンジ



The Power of Appreciative Inquiry(AI) Diana Whiteney, Amanda Trosten-Bloomを読みました。
AIにより、組織や人の過去及び現在の強みや価値、潜在的な可能性を認識し、組織と人が新たな可能性、新しい方向性、新しい理解に関するオープンな学習プロセスを通じて、命令と制御に根付いた組織文化を、発見と共同のコミュニティの文化へと変化させます。その変化により、社会の変化を素早く察知し、それに適応する最善の方法を共同で発見する知識を創造し、対応するために自己組織化することが可能になります。
AIのAppreciationとは価値の認識と付加と定義されています。
詳しくは以下に定義されています。
1.人、そして私たちを取りまく世界の最善の部分を見出し、認識すること。
2.ヒューマン・システムに活気、健全さ、生命力、卓越性などを与えてくれるものに気づくこと
3.過去と現在で強み、成功、資産、潜在的可能性を肯定すること
4.価値を増やすこと(自分が投資したものの価値が上がること)

これに、さらにInquiryという探究と発見の行為を行います。
詳しくは、以下に定義されています。
1.質問を投げかける
2.勉強する
3.探す、探究する、掘り下げて調べる、調査する

AIを最大限に生かす方法は、最初の図にある4-Dサイクルを実施することです。
組織の意識を組織の最も肯定的な可能性のあるポジティブコアに焦点を当て、組織の意識がそこに向かうようにします。ポジティブコアとは、組織が最善の状態であるときの本質的な特徴、つまり組織の有形もしくは無形の強み、能力、資源、資産に関する人の知の集合体です。
この4-Dサイクルは、ポジティブ・コアの要素を含んでいる組織にとって戦略的に重要なテーマである、肯定的なトピックスを選択します。次に、組織における現在及び過去の最善であったものを組織で探求し、発見に努めます。次に、「どうなれるか」というの探究を組織で行います。次に、「どうあるべきか」という設計を行います。そして、最後に継続的な学習と改革や「どうなるか」という運命をサポートする行動を作成します。
このような肯定的な変化のプロセスをAIにより構築することにより、組織の将来の肯定的な可能性を誘発し、開花させます。過去における問題点や欠陥に基づいて、欠陥を克服することに焦点を当てると、組織のポジティブ・コアを発見し、拡大することが出きません。
AIの4-Dプロセスを実行することにより、知識豊富で、強みを基盤とし、環境に適応可能なPter Sengeのいう学習組織の構築を実現できます。

Sunday, December 02, 2007

Serediptyについて

セレンディピティ(Serendipity)とは、何かを探している時に、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。何かを発見したという「現象」ではなく、何かを発見をする「能力」のことを指す。
Serendipityという言葉は、ホレス・ウォルポールが1754年に造語した言葉である。
彼が子供のときに読んだ『セレンディップの三人の王子』という童話に因んだ造語である(セレンディップは「スリランカの3人の王子」という意味の題名である)。
ウォルポールがこの言葉を初めて用いたのは、友人に宛てた書簡において、「セレンディップの三人の王子」の童話で、「王子たちは旅の途中、いつも意外な出来事と遭遇し、彼らの聡明さによって、彼らがもともと探していなかった何かを発見する。例えば、王子の一人は、自分が進んでいる道を少し前に片目のロバが歩いていたことを発見します。何故分かったかというと、道の左側の草だけが食べられていたためなのです。」と説明している。
英英辞書では以下の通りの説明がある。
Serendipity: the natural ability to make interesting or valuable discoveries by accident (Longman Dictionary of contemporary English)
このような起源を持ち、辞書で上記のように説明されているように、Serendipityとは、単なる 発見した"幸運" や "偶然" ではなく、発見する「能力」を指している。
セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつくという一種のサクセスストーリーとして、また科学的な大発見をより身近なものとして説明するためのエピソードの一つとして語られることが多い。
一方、A.L.Strauss,B.G.Glaserらは、彼らのGround Theoryにおいて、社会学の方法として予期しない特異な戦略的なデータが既存の理論の延長または新しい理論の創造の機会になることを観察された経験から、SerediptyはSerendipty patternとしてイデアの構築に役立つとされている。
また、R.K.Mertonらは、”The Travels and Adventures of Seredipty" (Princeton: Princeton University Press, 2003)で、 ”Serendipty"という造語がつくられてた起源と用途の跡をたどっている。そのなかで、 Serendiptyを目的をもった発見と経験的または、予知能力とを並列させた科学的手法として発展させている
なお、Serendipityについての引用文は、以下のものが参照になる。
"In the field of observation, chance favors only the prepared mind." Louis Pasteur
"Serendipity. Look for something, find something else, and realize that what you've found is more suited to your needs than what you thought you were looking for." Lawrence Block
"The most exciting phrase to hear in science, the one that heralds new discoveries, is not 'Eureka!', but 'That's funny …'" Isaac Asimov
"In reality, serendipity accounts for one percent of the blessings we receive in life, work and love. The other 99 percent is due to our efforts." Peter McWilliams
"Serendipity is looking in a haystack for a needle and discovering a farmer's daughter." Julius Comroe Jr.
"Serendipity is putting a quarter in the gumball machine and having three pieces come rattling out instead of one—all red." Peter H. Reynolds
"--- you don't reach Serendib by plotting a course for it. You have to set out in good faith for elsewhere and lose your bearings ... serendipitously." John Barth, The Last Voyage of Somebody the Sailor
"Serendipity is the art of making an unsought finding." Pek van Andel (1994)

Serendipityを新たな出来事を発見する科学的な手法としてとらえていきたい。
人が、全く違った出来事を予見または発見するには、人の認知と思考にヒントがあるように思える。
以下の参考文献を今後読んでみる。
Robert K. Merton, Elinor Barber: The Travels and Adventures of Serendipity: A Study in Sociological Semantics and the Sociology of Science. Princeton University Press, 2004. ISBN 0-691-11754-3. (Manuscript written 1958).
Patrick J. Hannan: Serendipity, Luck and Wisdom in Research. iUniverse, 2006. ISBN 0-595-36551-5
Royston M. Roberts: Serendipity: Accidental Discoveries in Science. Wiley, 1989. ISBN 0-471-60203-5
Pek Van Andel: "Anatomy of the unsought finding : serendipity: origin, history, domains, traditions, appearances, patterns and programmability." British Journal for the Philosophy of Science, 1994, 45(2), 631-648.

Monday, October 29, 2007

浅田次郎「壬生義士伝」を読んで

浅田次郎の小説は、色々読みました。でも、今回「壬生義士伝」を読み、心から涙を流巣ほど感動してしまいました。従来の武士道を貫く新撰組の人斬りで有名な吉村貫一の義理と家族愛を描いた小説です。
「誠」を貫いた近藤勇や土方才蔵の新撰組は後世でも有名ですし、武士道を貫く男らしい小説が大半を占めています。その中にあって、「人斬り貫一」と恐れられ、新撰組の中でも剣道の達人と言われた吉村貫一の家族愛を描いた小説は、読んだことがありませんでした。
南部盛岡藩の下級武士とhして生まれたのも関わらず、文武両道の才を変われ諸子取扱兼監査・撃剣師範に抜擢される。しかし、飢饉の続く南部盛岡藩においては、下級武士の家庭は貧困に喘ぎ、ついには一家郎党食うこともできない悲惨な状況になり、意を決し、脱藩し新撰組に加わる。新撰組においては、文武両道の才を買われて幕臣として取り立てられる。
新撰組においては人斬り貫一と恐れられ、多くの謀反を働く浪士を切り捨てた。
そんな貫一は、実は家族を愛し、守銭奴を卑下されながらも家族のために生活を切り詰めて南部盛岡藩に残した家族に仕送りをする。そんな貫一も、ついに鳥羽・伏見の戦いで傷つき、盛岡藩邸にたどり着き、最後に切腹してこの世を去る。そんな、貫一や家族を、新撰組の残党、盛岡藩時代の同僚、上司などが語る。
武士道を貫き、家族に対する愛情を注ぐ貫一に、親としての気持ちが同感でき、心から感動して泣いてしまいました。是非、多くの父親に読んで欲しい小説です。

Friday, September 14, 2007

息子が東大大学院に合格しました

息子が東京大学大学院の修士課程に合格しました。
来年4月から通学することになります。
同じ大学院の後輩になるわけですが、不思議な気持ちです。
息子に抜かれないように、博士課程の修了を目指して頑張ります。

Sunday, August 19, 2007

日本ソフトウエァ協会主催のJWEIN07にて発表をしました

今朝は、朝早く起きてゆりかもめに乗り、テレコムセンター駅にある産業技術総合研究所にて開催されたJapan Society for Software Science and Technology (JSSST)主催のJWEIN07にて研究論運を発表しました。
偶然にも、GSSM時代の恩師で現在東工大に移られたT教授とお会いできました。また、GSSMの同級生で、東工大の博士課程に進学した才媛M嬢にも会うことができました。東工大の博士課程に進学した他の5名の方々も元気そうで、安心しました。
残念ながら発表を聞くことができませんでしたが、M嬢の研究発表「ABSによるコンテンツ劉津メカニズムの解析」を読むと、エージェントベースシュミレーション(ABS)を用いて、個人間の情報流通における情報(コンテンツ)の流通の仕組みを解析しており、多くの人に流通されかつ多くのコンテンツと共に流通されるハブとなるコンテンツ出現の仕組みを探っており、実験の結果や分析もしっかりしており、研究の急速な進捗具合を感じた。
私のほうは、「パテントマッによる製品開の新たなシナリ創発」というタイトルで発表を行った。
ダミーノードを挿入し、クラスターと共起性が高いものを残す結晶化アルゴリズムによって結晶化された潜在事象により導き、特許の主要技術間の概念を合成し、新たなシナリオを創発する手法を発表した。質疑で、新たなシナリオを再度、データに加えて結晶化アルゴリズムで処理した場合、新たなシナリオに含まれる単語がダミーオードの変わりとして橋のように表出しないのかとの質問があった。
この質問から、創発されたシナリオの妥当性を科学的に立証する手段としての可能性を示唆していると考えた。改めて、検討したい。
それにしても、帰りも蒸し暑い一日であった。

Tuesday, July 17, 2007

発想を支援する補助線について

発想を支援する補助線の引き方について考え続けているが、そもそも所与のデータから新たな発想を自分自身が持っていない状況では、他者に補助線を示すことはできないのが、当り前の帰結である。
では、自分自身を含めて被験者がデータを見た時に、どのような補助線を導かれるとより新しい発想を創造できるかということを考えてみた。
新しさとは、既存分野において実在する事象ではなく、実在しない事象である。
言い換えれば、新しい製品とは、①既存用途における既存製品の組み替え、②既存製品の新たな用途、③既存用途に適合する新たな製品、④新たな用途の新たな製品という分類に分けられる。
今までに、Data Crystallizationによってデータにダミーノードを入れ、既存データの潜在的構造を可視化する手法が提案され、特許などのデータに応用し、新たな製品への創発を試みた。
この実験で得た、シナリオは、上記分類の①~②、または①~③に近い新たな製品の提案が創発された。
それでは、まさにイノベーションの核と言われている、④に適合する新たな製品のシナリオを創発させるためには、どうしたら良いのであろうか?
潜在的構造の示す最も関係性の少ない橋を探し出して、事象間に関係性のあるシナリオを考えだすことを試みたらどうであろうか?
ポテンシャ図で正エネルギーの一番低い場所を探し出して、正エネルギーの高い事象間の間を通ってゴールに到達するシミュレーションを応用し、正エネルギーの低い通過路がイノべーティブなシナリオ創発のシナリオを導く補助線にならないだろうか?
さらに考えてみたい。
http://www.i.u-tokyo.ac.jp/edu/course/ipc/master/2005/1/suzuki.pdf

Monday, July 02, 2007

第24回ソフトウエア科学会に投稿しました

日本ソフトウェア科学会  Japan Society for Software Science and Technology
9月12日―14日に奈良s年単だ学大学院で開催される日本ソフトウエア科学会に論文を投稿しました。
  

論文タイトル: パテントマップによる製品開発の新たなシナリオ創発著者:
概要:観察されるデータの構造を可視化し、意思決定に稀ではあるが重要な事象や状況に気づかせる   
   チャンス発見の手法は、様々なビジネスの用途で利用され、その効果が確認されている。しかし、
   我々は観察されるデータだけではなく、データには表れない非常に稀な事象も、新たなチャンス発
   見に貢献すると推測する。この未観察の事象を可視化する手法として、我々はデータにダミーノ
   ードを自動的に挿入し、観察されたデータ間との稀な関係を結晶化させるData Crystallization
   のアルゴリズムを開発した。本研究では、このData Crystallizationを特許データに適用し、特許
   技術の潜在的な構造を可視化するパテントマップを作成し、構成されている技術の要素を分析し
   たうえで、製品開発に関わる新たなシナリオを創発する手法を提案する。

台北から淡水への自転車サイクリングロードを発見

台湾チャンス発見隊の自称支部長を務める私は、友人から教えられ今週末淡水河周辺に自転車で行きました。
淡水駅中編には、サイクリングロードがあり、週末は家族連れで楽しんでいるのは知っていました。
自宅から台湾大学のそばまで走り、淡水河を渡り永福市に向かう高速道路脇の川沿いにサイクリングロードがあることを発見しました。
地図では判りづらく、なかなか日本人では見つかりにくいと思います。
週末は好天に恵まれ、朝から太陽が出て気持ちよい日でした。サイクリングロードは、淡水河の両側を川沿いに南北に走ります。地図を見ると、台北から10-15KM南の新店市から台北市を経由して、北端は太平洋に流れる淡水駅まで続いています。全長、推定40-50KMはあると思います。
周辺は野生の木々や植物で囲まれ、野生公園になっています。ところどころにテニス場、バスケット場、野球場、バトミントンなどの運動場所が配置されており、駐車場や休憩所もあります。
途中には、船場もあり、家族連れの人々が週末の運動やサイクリングを楽しんでいました。
早速、自転車に乗り北に向かいました。淡水までいけるかと思い、気持ちは高揚していましたが、1時間もすると汗が噴き出してきて、途中で挫折しました。あとい10から15KMくらいだと思います。台北市を縦断することはできましたが。淡水までは無理でした。
次回は、準備を整え、早朝に出発し淡水まで行きます。出来れば、新店から淡水までの全道路を走破したいと思います。

Friday, June 29, 2007

気づきと閃きについて

新しいアイデアや斬新な事を考えるていると、従来の出来事を論理的に整理し始めます。
整理した構造を何度も何度も繰り返し、ぐるぐると思いを巡らせて、既存のものから新しい形を生み出そうと考えます。
しばらくすると、頭の中が飽和して新たなことを考える集中力がなくなり、気分転換に散歩をしたり、音楽やテレビを見たりします。その時に、やっぱり頭のどこかで気にかけ、考えているのでしょう。
突然、絡まった糸の端が見えたり、はめられるジグゾーパズルのかけらを見つけたりするような、新しいことに気づくことがあります。そうすると、堂々めぐりしていた頭の中で整理されていた従来の構造の解体が始まり、新たな組みなおし作業が始められます。うまく組み直されないと、また、おなじ堂々めぐりが始まります。そして、ある時、突然に閃き組み直しが上手くいくときがあります。
このときに、新しいアイデアや斬新な事が発案されます。
気づきとは、まさに閃く前の予備準備なのです。
閃きとは、新たな組みなおす方法を発見することなのです。
気づきとは、人間の認知作業の一環です。同じ絵を見ても画家の意図にある人は気づき、ある人は気づきません。また、同じ人でも、気づく時と気付かない時があります。
人間は同じものを全体的に見ているのに、注意している場所が違うと全く解釈が異なることもあります。
3次元写真に目を近づけて1-2分見てから、写真を遠ざけると立体的な画像が見える人と見えない人もいます。
このように、人間の認知は個人の差もあります。
しかし、もし気づきを与え、誰でも閃きを持てるようにすることができれば、多くの人が新たなアイデアや斬新なことを提案することができるようになります。
今までのチャンス発見の手法以外の方法を是非発明してみたいです。

Saturday, June 23, 2007

マーケットリサーチ協会の第37回トッピクスセミナーにて講演しました

6月22日(金)の午後から麹町の砂防会館3階で、日本マーケットリサーチ協会主催の第37回トピックスセミナーで、東京大學大学院大澤先生、法政大学竹内先生と一緒に講演をいたしました。
参加者は59名と普段の2倍の参加者数で、営業系のマーケットリサーチ会社の人が多いようでした。
竹内先生の無農薬野菜に関わる消費者調査の共分散構造分析の講演、大澤先生の視点計測による人のヒラメキと言語化を導くメタ認知の講演、私のData Crystallizationを特許データに適用し、KeyGraphで可視化した特許マップによる新たな製品開発のシナリオ創発手法の講演の3議題でした。
予想以上に会場から本質的な質問が飛び出て、参加者の向上心がうかがえました。
従来のデータ処理だけでは、なかなかまれではあるけれど重要な事象の発見は困難であり、統計処理やデータマイニングの限界があります。
チャンス発見で新たな挑戦しているData Crystallizationを活用すると、従来の技法では見えない観測されたテキストデータの潜在的構造を可視化できます。潜在的構造から、従来の手法では気付かなかった重要な事象に気づく可能性が増え、斬新な仮説や新たなシナリオを創出することができます。

ご興味があれば、KeyGraphを利用してみてください。
http://www.chokkan.org/software/polaris/
http://web.sfc.keio.ac.jp/~kiichi/kamisibaiwiki/

Thursday, May 31, 2007

鼻腔手術後順調に推移しています

研究とは関係ありませんが、先週鼻腔湾曲矯正手術を受けました。小学校の頃より耳鼻咽喉科の医師に指摘されており、だんだん影響がひどくなり、最近では息ぐるしかったり、鼻が詰まったりしていました。そのため、頭がすっきりせず、思考するのに苦労していました。
思い切って、手術を受けましたが、全身麻酔で手術を受けたので痛みもなく、術後2日間病院で入院するだけですみました。昨日、術後のチェックを受けましたが、順調に回復しているようです。鼻腔に詰めていた綿を抜いてもらうと、空気が今までの3倍以上肺に入り、こんなにも深呼吸がすばらしいものか感動しました。
その後、少し鼻腔内が空気に接触して刺激されたのか、鼻腔が痛くなり鼻水が出るとともに、涙が出てきました。昨晩はゆっくり家出療養したお陰で、今朝は順調です。
さあ、心を入れ替えて研究に励もう。

KES Journalの投稿に落ちました

先日、投稿していたKES JOURNAL SPECIAL ISSUEへの投稿原稿が、残念ながら受諾されませんでした。基本的な英語のミススペルや英語表現が悪かったり、実験に関する論文の構造も時系列的で悪かったようです。また、使用したツールのKeyGraphでなぜJaccard係数を使用するのかについて詳しく言及しなかったことも問題だったようです。Data Crystallizationのアルゴリズムでダミーノードを自動的に挿入する時に、なぜJaccard係数を使用し、出現頻度より共起頻度の高い単語を抽出するのかを詳しく説明する必要があったわけです。
このReviewの指摘は非常に良い点を突いており、論理的な説明を今後の論文に記述しなければならないと気づかせてくれました。
投稿は落ちたけれど、前進するための良い通過点になったと思います。

Thursday, May 24, 2007

市場導入前の尖ったユーザーの製品に対する要望を探る

新製品を導入するときに、市場に存在する技術知識に優れ、市場をリードする尖った顧客の存在があります。
しかしながら、この尖った顧客の発見や、その人の要望を素早く把握し、製品開発に取り組む具体的な方法は、世の中に存在していません。
今後の研究では、そのような尖った顧客の要望を発見し、製品に取り込む方法をData CrystallizationとHuman-Interactive Annealingの手法を改良して実現できないか考察中です。
6月末までに予備実験を繰り返し、実現に向けて研究を進めていきたいと思います。

ISSS2007に投稿しました

8月に東京工業大学で開催されるISSS2007に投稿しました。
タイトルは、CREATING SCENARIO FOR NEW PRODUCT DESIGN WITH HUMAN-INTERACTIE ANNEALING AND DATA CRYSTALLIZATION
要約は、The importance of Patent is being recognized more than ever because it is considered as the core component for technology transfer to industry. It should be applied strategically for new product design. It is, however, common that Japanese patent claims are described in one sentence with peculiar style and wording and that they are difficult to read and understand for ordinary people. In chance discovery, it is newly recognized that latent structure behind observation often plays an important role in the dynamics of visible events. Such latent structure are composed of invisible events named as hidden events and can be visualized by data crystallization, where dummy nodes may potentially correspond to them. In addition, a new method, human-interactive annealing is developed to reveal the latent structure along with a simplified stable crystallization algorithm. In this paper, we propose designing Patent Map and process with data crystallization and human-interactive annealing, which visualize latent structure of patent claims. For further assistance, Pictogram which contains drawings and short text file are applied. Six new scenarios are emerged and two of them are selected for the development of product in real business.

特許技術データ内部には存在しないが、データを構成する潜在的な構造を発見するために、Data Crystallizationを使いました。実験結果で、6つの大きな要素技術を分離して表出できました。また、その6つの要素技術を結ぶ隠れたノードにより、特許技術の関係を示す潜在的な構造を可視化することができました。
この隠れたノードを概念合成の誘導因子として利用し、6つの要素技術の概念を適切に融合させた新たな技術シナリオを6つ創発することができました。実現可能性、新規制、販売可能性が高く、製品デザイン開発に活用できると考えられる2つのシナリオを選択しました。
この

Sunday, April 22, 2007

発明者と新製品を市場に導入し市場形成に影響力を与えるリーダーとの違い

発明者とは、技術の知識に造詣が深く、従来の目的、機能や手段に縛られず、自ら発見した技術を新たな目的、機能、手段に結びつけて、新製品を開発する人である。
発明とは、①新たな技術を組み合わせた新製品を新規市場に投入する、②従来の技術の製品を新たな市場に展開する、③従来の技術の違った組み合わせを行った新製品を既存市場に投入する、④新たな技術を組み合わせた製品を既存市場に投入する、という4分類で定義されている。

一方、市場に影響力を与えるリーダーは、技術知識に造詣が深く、新たな技術知識に基づいて目的、機能まは手段を新たに結びつけると共に、後に続く他者に最終的に共感または同意を与えることができる人と定義できる。
マーケティングでは、企業が新たな製品を開発し、新市場に受け入れてもらえるには、この市場に影響力を与えるリーダーの好みに合致する必要があるといわれている。
そのような市場に影響力のあるリーダーを探す方法として、新製品が新市場に導入され、市場の主力商品になった時系列のあるデータに基づき、IDMのような影響伝播の強さを測定することにより可能である。しかしながら、市場が形成されていない状態でのデータでは、その影響度を測定できないため、影響あるリーダーを特定することは困難である。
しかし、影響力のあるリーダーは、後に続く他者に共感を与える要素を持っていると仮定すれば、その選好要素は稀であるが、他者と何らかの関連性を持っているはずである。

Wednesday, April 18, 2007

2007年第51回ISSS(東京)に投稿した論文が採用になりました


今年8月5日から10日に東京で開催される第51回 Annual Conference of the International Society for the SystemsSciences (ISSS)に投稿した論文が採用になりました。
場所は、東京工業大学で開催されます。
論文タイトルは、”Creating Scenario for New Product Design with Human-Interactive Annealing and Data Crystallization”です。

Monday, April 16, 2007

JCIS2007に投稿しました



7月15日~22日までアメリカ合衆国ユタ州ソルトレーク市で
開催される10th Anniversary of Joint Conference on Information Sciences に本日投稿しました。締切が4月18日でしたが、ぎりぎり間に合いました。

Title:Creating new scenarios for product design with hunma-interactive process of conceptual synthesis
Abstract:In product design, conceptual synthesis such as combining, blending or integrating two different concepts, is an efficient means of developing creative insights into new inventions, and experiments are carried out to create mental products by imagery synthesis as a view point of mental cognition. Data crystallization and human-interactive annealing are newly developed to reveal the hidden structure among events including unobservable ones in chance discovery because it is recognized that hidden structure plays an important role in the dynamics of visible events. In this study, we apply data crystallization and human-interactive annealing for technology patents and propose the human-interactive process of conceptual synthesis to create new scenarios for products design

SMC2007に投稿しました








カナダのモントリオールにて10月7日~10日まで開催される
2007 IEEE International Conference on Systems, Man and Cybernetics
に論文を投稿しました。
期限ぎりぎりでしたが、間に合いました。


Title:Extracting New Scenarios for Products Design with Processes for Generating and Synthesizing Concepts


Abstract:In product design, it has been founded that conceptual synthesis process, such as combining, blending or integrating two different concepts. Conceptual synthesis is an efficient means of developing creative insights into new inventions, and experiments are carried out to create mental products by imagery synthesis as a view point of mental cognition. In chance discovery, data crystallization and human-interactive annealing are newly developed to aim at presenting the hidden structure among events including unobservable ones. This is realized with a tool which inserts dummy items, corresponding to unobservable events, to the given data on past events. The existence of these unobservable events and their relations with other events are visualized by applying KeyGraph iteratively to the data donated with dummy items, gradually increasing the number of edges in the graph, like the crystallization of snow with gradual decrease in the air temperature. For tuning the granularity level of structure to be visualized, this tool is integrated with human’s process of chance discovery. In this study, we apply data crystallization and human-interactive annealing for technology patents and propose the process for exploring concepts and guiding to synthesize them to create new scenarios for products design.