Monday, October 29, 2007

浅田次郎「壬生義士伝」を読んで

浅田次郎の小説は、色々読みました。でも、今回「壬生義士伝」を読み、心から涙を流巣ほど感動してしまいました。従来の武士道を貫く新撰組の人斬りで有名な吉村貫一の義理と家族愛を描いた小説です。
「誠」を貫いた近藤勇や土方才蔵の新撰組は後世でも有名ですし、武士道を貫く男らしい小説が大半を占めています。その中にあって、「人斬り貫一」と恐れられ、新撰組の中でも剣道の達人と言われた吉村貫一の家族愛を描いた小説は、読んだことがありませんでした。
南部盛岡藩の下級武士とhして生まれたのも関わらず、文武両道の才を変われ諸子取扱兼監査・撃剣師範に抜擢される。しかし、飢饉の続く南部盛岡藩においては、下級武士の家庭は貧困に喘ぎ、ついには一家郎党食うこともできない悲惨な状況になり、意を決し、脱藩し新撰組に加わる。新撰組においては、文武両道の才を買われて幕臣として取り立てられる。
新撰組においては人斬り貫一と恐れられ、多くの謀反を働く浪士を切り捨てた。
そんな貫一は、実は家族を愛し、守銭奴を卑下されながらも家族のために生活を切り詰めて南部盛岡藩に残した家族に仕送りをする。そんな貫一も、ついに鳥羽・伏見の戦いで傷つき、盛岡藩邸にたどり着き、最後に切腹してこの世を去る。そんな、貫一や家族を、新撰組の残党、盛岡藩時代の同僚、上司などが語る。
武士道を貫き、家族に対する愛情を注ぐ貫一に、親としての気持ちが同感でき、心から感動して泣いてしまいました。是非、多くの父親に読んで欲しい小説です。