Saturday, December 31, 2005

ポテンシャルモデル


大澤研究室の鶴岡君がポテンシャルモデルのツールを開発した。
初期段階では、KeyGraphで処理したテキストデータの高頻出度単語のみを表示するようになっている。
最終的には、KeyGraphのネットワーク構造も反映させた形にする予定。
ヒトの単語や文脈の認知を促進させる図になっており、新たなシナリオ創出促進に期待できる。
早速、実務で実験をしてみたい。

http://panda.q.t.u-tokyo.ac.jp/~tsuruoka/potential/index.htm

チャンスフィッシングとは

筑波大学大学院ビジネス科学研究科企業科学専攻システムマネージメントコースの博士課程前野義晴さんが、チャンス発見コンソシアムで、「チャンスフィッシング?頭と目、手と足も使うチャンス発見?」という演題で、発表した。
チャンスをデザインすることはできないが、チャンスが希少なのは、例外的だからではなく、多くのコンテキストで表出化しにくいからである。コンテキストを変え(足を使う)、タネを仕込む(手を使う)ことで、チャンスの表出化を促進できると考える。より能動的なチャンスフィッシングの今後の技術的な可能性を議論する。また、応用面として、企業、知識資産、プロジェクト内の人的資源などの相互関係の評価に関して、今後の展望を議論する。
具体的には、KeyGraphのテキスト・データにダミーデータを挿入し、黒ノード同士がリンクする「島」と「島」の間に仮想の「橋」である赤ノード(ダミーノード)を表出させ、「島」と「島」の関係について解釈し、新たなシナリオの創発を促す。
このツールは、工夫すると実用面で使えると直観的に思えた。実例の実験ツールとして評価してみる予定。

DISCUSS

インターネット上のチャットなどのコミュニケーションをHTML上で解析し視覚化するためにKeyGraphを実装したDISCUSSが、アメリカのイリノイ大学のDavid.E.Goldberg教授が中心になって開発されました。
Professor. David.E.Goldberg
Director, Illinois Genetic Algorithms Laboratory (IlliGAL)Department of General EngineeringUniversity of Illinois at Urbana-Champaign117 Transportation Building104 S. Mathews AvenueUrbana, IL 61801 USA

今年、筑波大学大学院ビジネス科学研究科経営システム科学専攻で大澤研究室の稲葉さんが6ヶ月イリノイ大学Goldberg教授のもとに派遣され、DISCUSSの日本語処理を中心に開発を行いました。
これにより、HTML上の日本語のコミュニケーションを解析し視覚化することが可能になりました。
詳細は、イリノイ大学のDISCUSSのWEBを参照ください。
http://www-discus.ge.uiuc.edu/blojsom/blog/default/
実際にデモ版(英語)で実験ができます。

紙芝居KeyGraphについて

慶應義塾大学政策・メディア研究科博士課程の伊藤 貴一君が、複数のKeyGraphの変化・違いを見るツールとして、「紙芝居KeyGraph」を開発した。
KeyGraphの限界としてデータの中に橋の役割をするノードが存在しなかった場合、当然、赤ノードは抽出できない。この問題を解決するために、データにダミーを加えるという手法を開発した。これにより、今まではつながらなかった関係がつながり、KeyGraphの表現能力が向上する。

KeyGraphを進化させたPolaris


Polarisは、東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程の岡崎直観氏が、東京大学大学院工学系研究科大澤助教授が提唱した「チャンス発見の二重螺旋プロセス」をもとにKeyGraphをチャンス発見プロセスに適合するように拡張設計したデータマイニング・フレームワークです.KeyGraphはもともとキーワード抽出のためのアルゴリズムでしたが、稀ではあるものの重要と思われる事象を視覚化してくれることから、チャンス発見において多くの成果をもたらしました。しかし、チャンス発見の二重螺旋モデルが示すように、データが視覚化された結果から意思決定につながるようにするためには、視覚化された結果を人間が解釈する必要があります。
しかしながら、初期のKeyGraphは、チャンス発見にふさわしいインターフェースを搭載していませんでした。例えば、データをマイニングできるフォーマットに変換(クレンジング)したり、データの中から注目したい箇所だけを抽出するような機能は用意されていませんでした.このような課題を解決するために、チャンス発見の二重螺旋プロセス全体を支援するシステムとしてPolarisが開発されました。
新たな機能としては、以下の5つです。
1.単語の文脈情報の表示
2.シナリオの記述と解析
3.単語の操作(削除)
4.バスケットの操作(注目する単語周辺の解析)
5.ノードのイメージ表示

現在は、バージョン0.17まで改善されている。


岡崎氏にPolarisについての説明
http://www.chokkan.org/xoops/modules/tinycontent/index.php?id=5

PolarisのソフトウエアーDOWNLOADしたい方は、こちらにアクセスしてください。http://www.chokkan.org/xoops/modules/mydownloads/

岡崎さんのPolarisに関する論文に興味のあるを方は、こちらにアクセスしてください。
Okazaki, N. and Ohsawa, Y.: Polaris: An Integrated Data Miner for Chance Discovery, in Workshop of Chance Discovery and Its Management (in conjunction with International Human Conputer Interaction Conference (HCI2003)), pp. 27-30, Crete, Greece (2003).
岡崎直観, 大澤幸生, 石塚満:チャンス発見のための統合型データマイニングツール Polaris, 人工知能基礎論研究報告, 第2004-SIGFAI-53巻, 東京大学 生産技術研究所 (2004).

KeyGraphとは


東京大学大学院工学系研究科の大澤助教授が開発したテキスト・データのコンテキストをノードとリンクによるネットワーク図で可視化するアルゴリズムです。
黒ノードは、テキスト・データ内の頻出頻度の高い上位語を意味します。黒ノードを結ぶリンクは、同一文章内で共起度の高い黒ノードの単語同士を結びます。この黒ノードとリンクの塊を「島」と呼び、テキスト・データにおける主要な主張や重要な事象を示しています。
一方、赤ノードはテキスト・データ内の頻度の少ない語を意味しています。上述の「島」と「島」を結ぶ赤ノードとリンクは、「橋」と呼ばれています。
この「橋」は、頻出頻度は低いものの黒ノードと同一文章内で共起する単語で、「島」と「島」との関係を意味しています。
詳細は、大澤助教授の論文を参照してください。http://www.gssm.otsuka.tsukuba.ac.jp/staff/osawa/KGsum/KGsummary.html

シナリオマップによる特徴と研究成果

シナリオマップを作成し実例に適用して実験を実施した。
被験者6名を選択し、グループディスカッションを通じて、シナリオマップを解釈しシナリオの創出を試み、全員が合意形成したシナリオのみ抽出した。
実験により最初に作成した16枚のシナリオマップから104のシナリオが抽出された。
この104のシナリオは、85の「現在の状況」と19の「未来の提案」に分類された。
また、この104のシナリオを改めてシナリオマップを作成し、グループディスカッションを実施した結果11の「未来の提案」が抽出された。
この11の「未来の提案」のシナリオについて試作機を開発し、5件の特許申請が行えたともに、重要顧客に5台量産開始することが可能になるという成果を得た。

この実験において、以下の特徴が発見された。
1.被験者は、シナリオマップにより未定義であった重要な単語を同定することが可能になり、グループ
  共通でコンテクストの解釈を行えた。
2.KeyGraphだけでは創出されなかった新たなシナリオを創出された。
3.被験者は、シナリオマップの黒ノードとリンクの塊である「島」を最初に観察し、その事象の解釈を試 
  みる。次に次の「島」へ注目を移し、その事象を解釈しようと試みる。その次に「島」と「島」とを結ぶ
  赤ノードに注目し、「島」と「島」との関係について解釈を行うという新たな認知プロセスが観察され
  た。

チャンス発見コンソシアムでのパネル発表

2005年6月17日 チャンス発見コンソシアムのパネル発表をおこなった。
演題は、「合意形成過程における質の高いシナリオを抽出するプロセスとその効果」であった。
演題要旨:勤務する会社にて取り扱う表面欠陥画像検査装置の新たな仕様に関する提案を検討するにあたり大澤の提唱する二重螺旋のプロセスを適用した。営業報告書や実験報告書のテキストデータに基づいてKeyGraphにて可視化されたチャートを営業管理者や技術営業者でグループディスカッションをしたが、得られたチャートからコンテクストを解釈することが困難であり、新たな提案を創発することが出来なかった。プロセスを見直し、データの前処理、KeyGraphのチャート上にグループ内で共通化されていない欠陥に写真を添付したシナリオマップの導入、などの改善を加えることにより質の高い新たな提案を抽出することが出来た。改善したプロセスとその効果について考察結果を発表する。
http://www.chancediscovery.com/modules/eguide/index.php?prev=1

チャンス発見の定義

チャンス発見は、2000年に東京大学大学院工学系研究科の大澤助教授が提唱している。
チャンス発見とは、「意思決定にとって重要な事象またはその状況に気付き、これを理解して行動すること」と定義されています。
チャンス発見については、チャンス発見コンソシアム(http://www.chancediscovery.com/)について詳述されている。

Friday, December 30, 2005

チャンス発見の二重螺旋のプロセス

チャンス発見では、チャンスへの関心を抱く 、目前の事象の意味を理解し、これをチャンスとして未来に生かすシナリオを発案する 、チャンスを選択し、行動またはシミュレーションを行う、新しいチャンスに関心を抱く 、というサイクルを繰り返しながら螺旋状に進む「人のチャンス発見プロセス」と平行し、その人が自分の関心に基づいて選んだ環境データと、その人自身の思考内容を記録した主体データの解析をコンピュータが繰り返す、「チャンス発見の二重螺旋プロセス」が東京大学大学院工学系研究科大澤助教授により提案されています。
ヒトの主体データは解析し可視化することによってお互いの関係や違いについて、他のヒトでも共通して認識することができます。
人が環境データのマイニング結果を理解している最中も、その理解過程までコンピュータに主体データとして取り込み、人とコンピュータがつねに並列に働き続けることから「二重」螺旋と呼んでいます。ここで、チャンスに気づく感度 (prepared mind)は、経験および経験に裏打ちされた関心の高さに依存し,非常に重要です。さらにチャンス発見の原動力として、人と環境とのインタラクションが必要不可欠です。単にデータマイニングだけでは二重螺旋プロセスを展開することはできません.
詳しくは、「チャンス発見の二重螺旋プロセス」を参照して下さい。http://www.chancediscovery.com/docs/RC-Ohsawa.pdf?PHPSESSID=1942998ed51c70c0d4569957451ca1a2