Tuesday, February 27, 2007

創造性のある知識の構築を考える

人が、多様な分野の情報や知識を貯蔵している場合、その知識は、その人自身のルールに従って貯蔵方法が決められていると考えられる。その場合、その人のメタ知識も自分自身の知識や情報の貯蔵方法に準じていると考えられる。
製品の要素、目的、機能など特定の観点でメタ知識を編成することにより、その人の知識の構造化が可能になる。知識の構造化を行ったうえで、その構造化されたものとは異質な情報や知識を取り込むことにより、既存知識の再構造化を促し、新たな製品のデザインに関するシナリオや概念を創造することが可能になるのではないかと思う。

1.数名の人にキーワードを示し、そのキーワードに関連すると思われるイメージ画像を各自で複数集
  めてもらう。(メタ知識の編成)
2.そのイメージ画像を見ながら、各自でキーワードに関連する単語を自由に連想し、羅列する。(メタ
  知識からの知識抽出)
3.改めて画像を組み合わせながら、各自で羅列した単語から想起されるシナリオを作成する。(知識
  の構造化)
4.次に、グループで各自のイメージの組み合わせをシナリオを発表し、相互に解釈する。
5.その後、キーワードに適切とグループで思えるイメージの組み合わせとシナリオを作成する。(異質  
  な知識の取り込みによる知識の再構造化)
6.抽出されたイメージとシナリオを評価する。評価方法については、要検討。

メタ知識について

人は、自分の知識状態をモニターする上位機構、すなわち「何を知っているかを知っている」というメタ知識を有している。
このメタ知識は、保持されている知識の正確さの評定能力も有すると言われている。ある問いに対して「知っている」「知らない」だけではなく、「喉まで出掛かっている」、「ヒントがあれば思い出せる」、「たぶん知らない」など知識に対するさまざまな評定レベル(知識勾配)があり、自分の知識状態を把握している。メタ知識によって貯蔵された情報の検索を効果的に行うことができると考えられる。

重松敬一(’95)によれば、メタ認知には、メタ知識とメタ技能の2分類がある。
メタ知識:認知作用の状態を判断するために蓄えられた環境、課題、自己、方略についての知識。
メタ技能:メタ知識に照らして認知作用を直接的に調整するモニター、自己評価、コントロールの技能。

清水美憲(’97)によれば、「わかっていないこと」がわかるという出来事は、「メタ認知的経験」と呼ばれる。

Monday, February 26, 2007

J.H.Flavellによるメタ認知

J.H.Flavell(’76)により、メタ認知とは、その人自身の認知過程とその成果、またそれらに関する全てのことについての知識であると定義されている。メタ認知は、認知的目標やデータの関連で、通常はある具体的な目標のあるところで行われる能動的なモニタリングとその結果として認知過程の調整や調和的遂行である。
一方、重松氏は、メタ認知を「内なる教師(もう一人の自分)」と捉えている。
メタ認知は、メタ認知的知識(メタ知識):認知的な現象に対する知識や概念とメタ認知的技能(メタ技能):認知的な行為に対する調整や制御に2分類される。

記憶のメカニズム

Tulving(’75)によれば、記憶には感覚的形態、短期記憶、長期記憶の3分類に分かれている。
感覚的形態では、感覚登録器内、たとえば聴覚的形態に外界の情報が数秒間とどまる。その数秒間の間に、既存知識との照合を行いパターン認知が生じる。
次の短期記憶では、パターン認知された情報がコード化された情報としてとどまる。短期記憶内の情報は、その中で何度も何度も循環させるリハーサルと呼ばれる保持課程によって長く留めておくことができる。短期記憶には、二つの制約条件がある。一つは、リハーサル無しで情報が短期記憶に留まることができる時間は、約30秒という制約である。二つ目は、数の制約である。マジカルナンバーとして知られている、7±2個の情報のまとまり(チャンク)しか入れる余地が無い。この個数を超えると、そのいくつかの情報は短期記憶から消失する。この消失が忘却の1タイプである。
記憶システムの第3の段階が長期記憶である。この長期記憶は、外界についての知識の貯蔵庫、すなわち知識のデータベースである。そして、時間的制約のない永続的な貯蔵庫でもある。この中では、単に情報がばらばらにおかれているのではなく、高度に組織化され配置されていると考えられている。
そのように組織化されているかについては不明な点が多いが、語としてのまとまり、概念などの意味的記憶、音や形状についてのイメージ的記憶などに分割され保持されているという考え方も提唱されている。

細田聡 「労働の科学」51巻2号によれば、記憶は、二つの分類に分かれている。
一つは、エピソード記憶という。個人的な自己中心的記憶であり、時間的・空間的・文脈的な制約がある。
もう一つは、意味記憶である。事象に対する理解や解釈の記憶、概念的あるいは抽象的な知識の記憶であり、時間的・空間的・文脈的制約を受けない記憶である。

Friday, February 23, 2007

一旦ネットワーク構造から離れよう

昨晩、O先生に助言を頂き、頭の中が整理でき始めました。
研究をしている目的と手段が逆転しており、手段であったKeyGraphのネットワーク構造を使うことを目的としていたことに気づきました。この単純な間違いに気づいたことは非常に今後の研究にとって大切な一日でした。

自分の研究にとって大切な記念日:2007年2月22日(木曜日)               
研究の目的は、市場において最先端の新製品を真っ先に採用する”とんがった顧客”を対象に、”とんがった顧客”に採用される独自性のある製品のデザインシナリオやコンセプトを創造する手法を開発する。
アプローチとしては、デザインのコンセプトを表すキーワードの抽出を被験者に行ってもらい、そのキーワードに適合すると思える、インターネット上にある画像データを収集する。
その画像データの関連性を考察しながら並べ替え、一番自分のイメージに適合した組み合わせを作る。
その後、その組み合わせを見ながら想起される単語を書き出し、シナリオを作成する。
次に、個人のシナリオと画像に組み合わせを全員に示しながら、全員で組み合わせを再構成していく。
その後、最終的に全員が合意する構成に沿って、適合する単語を表記し、シナリオを作成する。
このアプローチをデザイン・コンセプトマップと呼称し、簡単な実験を行ってみよう。

異質性と関連性を併せ持つ情報について

最近調査した関連研究で、異質性と関連性を併せ持つ情報による創造性の支援(西本93、西本95)を読んだ。
創造性を支援するには、固定観念を打破する必要があるが、人がすでに気づいた関連性のある情報領域、人がある情報を与えれば関連性に気づく可能性のある情報領域が固定概念と定義されている。この固定概念を打破するために、人がある情報を与えれば関連性に気づく可能性のある情報領域、及び関連性があるが人が気づくのに困難な又は不可能な情報領域の情報を与える必要がある。
また、情報を与えてみても、人が気づかなければその関連性に気づかず、創造的活動を促すことができない。関連性に気づかせるには、異質性のある情報と関連性のある情報を併せ持つ情報を与えると効果がある。
これからの研究において、異質性の情報を併せ持つ関連情報の内容、情報与えるタイミング、与える方法について考えてみたい。
人に新たな発見を導く補助線のような気づかせる役割は、まさにこの異質性の情報を併せ持つ関連性のある情報を提示することに近い。