Monday, February 26, 2007

記憶のメカニズム

Tulving(’75)によれば、記憶には感覚的形態、短期記憶、長期記憶の3分類に分かれている。
感覚的形態では、感覚登録器内、たとえば聴覚的形態に外界の情報が数秒間とどまる。その数秒間の間に、既存知識との照合を行いパターン認知が生じる。
次の短期記憶では、パターン認知された情報がコード化された情報としてとどまる。短期記憶内の情報は、その中で何度も何度も循環させるリハーサルと呼ばれる保持課程によって長く留めておくことができる。短期記憶には、二つの制約条件がある。一つは、リハーサル無しで情報が短期記憶に留まることができる時間は、約30秒という制約である。二つ目は、数の制約である。マジカルナンバーとして知られている、7±2個の情報のまとまり(チャンク)しか入れる余地が無い。この個数を超えると、そのいくつかの情報は短期記憶から消失する。この消失が忘却の1タイプである。
記憶システムの第3の段階が長期記憶である。この長期記憶は、外界についての知識の貯蔵庫、すなわち知識のデータベースである。そして、時間的制約のない永続的な貯蔵庫でもある。この中では、単に情報がばらばらにおかれているのではなく、高度に組織化され配置されていると考えられている。
そのように組織化されているかについては不明な点が多いが、語としてのまとまり、概念などの意味的記憶、音や形状についてのイメージ的記憶などに分割され保持されているという考え方も提唱されている。

細田聡 「労働の科学」51巻2号によれば、記憶は、二つの分類に分かれている。
一つは、エピソード記憶という。個人的な自己中心的記憶であり、時間的・空間的・文脈的な制約がある。
もう一つは、意味記憶である。事象に対する理解や解釈の記憶、概念的あるいは抽象的な知識の記憶であり、時間的・空間的・文脈的制約を受けない記憶である。

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