Tuesday, April 25, 2006

WSEASのJournal掲載について

4月17日に開催されたWSEASの学会にて発表した論文がJournalに掲載されました。
初めての論文掲載です。
博士の学位取得には3本の査読付きJournalの掲載が必要ですが、単に博士課程取得の目的だけでなく、研究者としての第一歩が踏み出せたと思います。
研究論文の内容や質については、これを最初の一歩として更に内容を吟味しながら改善していきたいと思います。
まずは、記念すべきJournal掲載を素直に喜びたいと思います。
Kenichi Horie, Yukio Ohsawa, Naoaki Okazaki
"Products Designed on Scenario Maps using Pictorial KeyGraph"
WSEAS TRANSACTIONS ON INFORMATION SCIENCE AND APPLICATIONS
pp. 1324-1331, Issue 7, Volume 3, July 2006 ISSN 1790-0832

Wednesday, April 19, 2006

WSEASの発表を終えて

本日、WSEASの中国杭州市で行われた行われた学会に参加して、本日発表しました。
参加者は、中東、メキシコ、オーストラリア、ドイツ、中国、台湾の国際的なメンバーでした。
発表後の議長と話しましたが、創発的なプロセスをシステマティックにデザインした研究は、殆どなされていないので、非常に面白いアプローチだとの評価を受けました。
オーストラリアのUniversity of South Walesやドイツの大学教授からも高い評価を頂きました。
認知心理学をシステマテックにデザインする新規性を改めて実感することが出来ました。
創造的心理を如何に解析し、それを方法論へ落とし込む研究の重要性を認識し、ますますやる気になった一日でした。

Thursday, April 13, 2006

ワークショップ「工学の新展開とシステムデザイン学」に参加して

昨日は、東京大学農学部弥生講堂で朝からシステム量子工学専攻主催で「工学の新展開とシステムデザイン学」のワークショップに参加しました。
朝から雨にも関わらず、150名を越す参加者で、講堂は満員で、午後は立見がでるほどでした。
森英介自民党衆議院議員、高橋経済産業省間と局局長などのお歴々も出席され、大成功であった。
古田教授専攻長からは、システムデザイン学は、学術を幅広く横断する学際的な学問を目指すとの説明があった。また、柘植綾夫 総合科学技術会議議員からは、「科学技術創造を国創りに結実させる技術融合戦略」というタイトルで特別講演があり、モジュールアーキテクチャー型技術とインテグラルアーキテクチャーの技術の両方をシステムデザイン学により統合することにより、価値創造型ものづくりを目指す日本が、世界の競争に生き残り大きく発展することを期待できるとの発言があった。
また、アナライズだけでなくシンセシス(≒シュミレーション)が今後のシステムデザインの要になるとのコメントも他後援者からあった。しかし、シンセシスは、最後に限定されたクローズな環境条件ではかなり適合した結果を得られるが、オープンな環境条件では複雑で多数な変数が入る為に、必ずしも適合した結果を得られず、人間の主観を活用したプロセスを導入したシステムデザインが必用となると思う。
日本工業大学の梶原教授、大阪大学の松村助教授を交えて大澤先生の慰労を湯島の居酒屋で行った。今回は、M1の3名も参加し、参加者10名と賑やかな宴会となった。
梶原教授との雑談で、複数の参加者のコメントだけをKeyGraphで解析しても、参加者の経験、価値観、理解力などに差があるため、各参加者のプロフィールを集め、解析結果を取り込みながら、各々のコメントをKeyGraphで解析することにより、各参加者の表面的な言葉だけでなく心象状況を反映した言葉の意味を解析できるのではないかとの面白い意見があった。
難しそうだけで、Mさんに相談してみよう。

Tuesday, April 11, 2006

FINKEのジェネプロアモデル

FINKEのCOGNITIVE COGNITION(創造的認知)におけるジェネプロアモデル(Geneplore Model)は、生成段階と探索段階の要素からなっている。
始めの生成段階では、創造的発見を促進するような様々な特性をもつ、発明先行構造(Preinventive Structures)と呼ばれる心的表現を構築する。これらの特性は続いて、発明先行諸構造を有意味な仕方で解釈しようとする探索的段階で利用される。発明先行構造は最終的には外在化される創造の産物の内的な先行物と考えられ、生成され、再生成され、また創造的探索の全過程を通じて修正される。

ジュネプロアモデルの基本的構造

発明先行構造の生成⇔発明先行探索と解釈
         ↑       ↑
         産出物への制約


ジュネプロアモデルにおけるプロセス、構造、属性、制約の例は以下のとおりである。

生成プロセス 発明先行構造  発明先行特性 探索プロセス 産出物制約
記憶検索    視覚的パターン 斬新性     属性発見    産出物タイプ
連合       物体形状     あいまい性  概念解釈    カテゴリ
心的合成    心的混合物   有意味性    機能推論    特徴
心的変形    カテゴリ事例   創発性     文脈変更    機買Aナロジ転移  メンタルモデル 不調和性    仮説検証    構成要素
カテゴリ還元  言語的結合   拡散性      限界探索    資源

このジュネプロアモデルから考えると、昨日のレゴの実験では以下の手順で進めていくと創作物作成の新たな技術の創発という成果が得られるものと考える。
1.各被験者が、自分の心象にあるものをレゴの部品により作成する。
2.創作物を作成者が個々に作成したかった形状、機能、色彩、特徴や創作物と自分の心象と異なる項目を述べ記述する。
3.被験者間で、創作物と記述された内容について自由討議して、心象内容に近い創作物にする為にはどのように工夫したら良いのか意見を出し合い、その意見を記述する。
4.各被験者は、参加者の意見を取り入れながら再度創作物を作成しなおす。
5.作成した造作物を改めて提示しながら、工夫した項目を述べ、記述する。さらに、心象内容との違いを改めて述べ、記述する。
6.被験者間で自由討議し、心象内容に更に近い創作物にする為の更なる工夫について意見を出しあい記述する。
7.再度、創作物の作成を行う。
8.最終的に作成した創作物と最初の心象内容の違いを改めて延べ、記述し改善点と完成度を評価する。






レゴで実験


工学的な視点で技術の移転や新たな技術の創発を促す実験を行う為に、レゴを使った実験を始めました。創発には、あいまい性や分散性が必要なため、アホのNさんに参加頂きました。
一回目のためしでは、あまり個々の被験者間の会話が無く、各自勝手にレゴによる創作物に打ち込んでいました。しかし、さすがにNさん登場で、場は俄然活気がでてきて被験者間の会話が始まりましたが、あまりにアホ過ぎて他の被験者が解釈不能となり、実験は終了。
アホの投入の効果は確認できませんでした。
その後、いつもの「里」で飲み会をしましたが、Nさんの存在はやはり強力で、研究の話をしていたにも関わらず、わけのわからない説明により場は騒然となり、会話がどんどん発散開始しました。
真面目なフランシスコ・ザビエルは、手を組んで「私を信じなさい」と変身し、理論家で博識なK氏もアホな会話に応戦開始し、相当盛り上がりました。
でも、今朝起きたら何の話で盛り上がったのか記憶がありません。Nさんのアホが移ったのかもしれないです。
やはり、Nさんのアホは侮れない。気をつけねば。

先週の海外出張

先週、アメリカ・ネバダ州のラスベガスに出張に行ってきました。主目的は、CTIA2006の出展でした。CTIAは、無線通信に関するカンファレンスと展示会が開催されますが、日本企業と日本人が少ないのが目立ちました。
我々は、無線基地局用高周波パワーアンプのシステムを展示しましたが、アメリカではパワーウェーブ、アンドリューの2社だけが、生き残り市場んの大半を占有している状況です。一方、彼らは単なるパワーアンプメーカーから脱却して、基地局及びアンテナまでのシステム開発・販売をしており、従来の顧客と競合するような付加価値の高い商品を販売しています。
そのため、Northern Telecom, Alcatel, Motorolaなどの大手メーカーは、少しずつ彼らから離れつつあるようです。展示会初出展で、一こましかなく、知名度もない状態でしたが、展示会で面談した大手顧客との会話から予想と反して我々が、赤ノードのような大手顧客を結ぶ重要な役割をするのではないかという感触を受けました。
CDMA2000、TD-CDMA、WiMaxなどの新規システムの主要部品である高周波パワーアンプは、アナログ技術であるために技術者の数が少なく企業規模も小さいのですが、各システムの小さな巨人になれる可能性があります。