昨日、メタ認知で有名な中京大学情報処理工学部諏訪教授と面談してきました。
メタ認知とは、「認知に対する認知、すなわち、見る、聞く、書く、話す、理解する、覚える、考える、といった通常の認知活動をもう一段高いレベルからとらえた認知を指します。認知活動を客観化、対象化する。」といえます。
メタ認知の実験によって、自分が感じている事を言葉にすることによって自分の感覚を認知して、更にその理由(変数)や原因、新しい問題意識を探索していき、自分を掘り下げる事が可能です。
1.味覚:お茶 ケーキ
2.感性:居心地 街と私 洋服と私 ぬいぐるみと私
などの実験を通して、味覚が鋭くなったり、感性が研ぎ澄まされたりすることが解明されています。
認知心理学では、科学的な検証方法として外部から内側のデータを観察することが唱えられてきました。(従来の手法 "Thinking of Thinking" 言語的思考)
諏訪教授は、”Cognition of Cognition"という内側からの観察の必要性を主張しています。これにより、言語的思考だけでなく、知覚・身体の動きを内側から観測できるからです。(メタ認知:内部観測(Nakashima, Suwa and Fujii@ICCS2006)
この主張は、Jerome Bruner (1990) ”Meaning making rather than information processing”、戸田正直氏 「個人のナラティブ(内観)を正統的なデータとして取り扱うべき。」、浜田氏(認知心理学会独創賞)「渦中の人の渦中からの言葉に接する必要あり。」などと支持されています。
しかし、内観するとインターラクションしている最中に被験者に影響を及ぼし、データが変化するという課題があります。
そのため、諏訪教授は、”Constructive Science”というアプローチを提案し、内部観察をループの中に入り、データを捉えながら分析するという科学的な手法を確立していこうとしています。
一方、メタの認知がもたらす熟達のサイクル(Gibson&Gibson:1955)について、「人は、熟達していく過程で、新しい変数を発見し、その変数間の関係に気付き、全体的なモデルを把握する。更に、新しい変数に気付き、新しい問題意識を持ち、モデルを組みなおし、新たなモデル形成を行うというサイクルを繰り返す。」という説明を受けました。まさに、この熟達のサイクルは、私の新製品デザインのシナリオ創発時に直前のシナリオが含む単語数と赤ノード数の減少という特徴を説明できます。
諏訪教授と意見が合い、更にメタ認知とチャンス発見の手法の共同研究を行うことになり、KeyGraphのイベントマップをプロジェクターで拡大して天井に照射し、そのマップを見ながら、被験者がその空間を移動しながら意見を述べ認知感覚を言語化して、その結果をKeyGraphで処理して被験者の認知活動を分析するという実験を行う事になりました。
これから、楽しみです。