Sunday, March 04, 2007

テーマに沿った写真の収集と写真の関係性からデザイン文脈を創造する


現在、新製品のデザインに関するシナリオをどのようにスケッチなどのデザイン図に落とし込むかについて検討している。

先行研究によれば、「事例に基づくデザイン支援と評価基準の構築」(片寄’03)によれば、コンテンツ制作例として、事例にもとづ推論法(CBR)にのっとり、演奏の生成、絵画制作、造詣支援を取り上げ、見本や素材に変更を加えて作品を完成させる簡便な手法が大いに利用されていることが指摘されている。また、コンテンツを基本構造(骨格部分)とElaboration(具体化、詳細化)に分けた場合、簡便なコンテツ制作手法として基本構造はそのままで、Elaborationの部分のみ変更を加える手法が有効であると提案されている。
コンテンツを魅力的なものにする特質のひとつに創造性が上げられる。”Creative Cognition" (Finke’92)では、創造過程が創作の前段階構造を生成するフェーズと、創作の前段階構造をさまざまに解釈する探索フェーズからなるとしている。
FinkeのGeneplore Modelを片寄の提案方法に当てはめると、Elaborationの部分で創造性を発揮する比率を大きくすると簡便さを失い、簡便さを追求すると創造性を発揮しにくくなるというトレードオフの関係が課題としてあげられる。

一方、デザインは、要素、機能、目的を統合してコンテンツや造形を作成するものと定義できる。
”A Framework that supports Collective Creativity in Design using Virtual Images"(Nakakoji,K., et al.’99)にて、デザイン支援にはPhotoshopやIllustratorのように、ユーザーには解生成のためのプリミティブを提供する手法や、ユーザにとって発想のヒントになるであろう刺激データを提示する手法の提案がある。発想のヒントとなる画像データの提示において、デザインの発想にはデザイン知識の文脈性、信頼性、作業への没入感が重要であるといわれている。
”Towards More Creative Case Based Design Systems"
(Wills、’94)では、創造的なデザイン支援に関して、問題の多面的な記述、評価の繰り返しによる問題詳細化と理解の深化、問題が発生している文脈に則した事例検索、柔軟な思考戦略を実現するにも事例に基づく推論(CBR)が利用できるとしている。
ただし、"Case-Based Reasoning-Survey and Future Directions",(Bartsh-Sporl,'99)
では、ケース事例に基づく推論法(CBR)は、もともと閉じた状況における定型問題を解くための枠組みとして提案されたものであり、デザインのような生成的な応用にはあまり成果が出ないとしている。その主因として事例格納文脈と事例検索、再利用の文脈が異なる点が上げられている。
つまり、創造的なデザイン用途においては、事例が将来検索、再利用される文脈を格納時に完全に予測することができない。この問題を根本的に解決するには、デザイン活動を行う対象のコンテンツの知識表現の問題に取り組む必要がある。


一方、Web上の画像やテキストを対象としたシステムを概観すると、Hunter GatheretoCollage Machineがある。
Hunter Gathereは、Web上の画像やテキストの必要な部分だけを非常に簡単な操作で切り貼りするシステムである。(Schraefel、’01、Schraefel’02)
Collage Machineは、Finkeらの”Creative Cognition”(Finke,'92)の理論の基づいき、ユーザーが嗜好するWeb上の画像やテキストを自動的活継続的に集めコラージュを作成するシステムである。(Kerne,'00,Kerne,'01) コラージュは、モノを置く文脈を再定義し直してそこに新しい意味を生み出すことであり、現代芸術での基本テクニックの一つである。創発的、偶然的なコラージュがユーザの新しい発想を促したり、コラージュ自身が作品となる場合がある。Collage Machineは、ユーザーとの対話を通して、ユーザーの嗜好に適応する。

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