Thursday, June 08, 2006

Finkeの「創造的認知」と「謎々マップ」について

FINKEの「創造的認知」という題名の本を現在読んでいる。その本の第5章に「概念合成」について説明がある。
既存の概念と既存の概念との結合は、既存概念の特性の排除と新たな特性の創発を促す。この概念結合は、「斬新性」、「あいまい性」、「不調和性」という特徴により創造探索に有用であり、新しい発見と知識の構造化が起きる。
簡単に言えば、リンゴという概念と電車という概念を結合させると「リンゴ+電車」から、なにかしっくり行かない感じがするし、余り明確な概念を意味する言葉では無いし、斬新すぎて既存の概念にはないような気がする。これから、例えば「青森リンゴ観光電車」などという新しい概念が生み出される。
現在M氏と、一緒に共同研究している内容は、まさにこのFINKEの「概念合成」の先行研究を基礎にしたものである。すなわち、データをKeyGraphで処理したシナリオマップは、島と呼ばれるクラスターと橋と呼ばれる赤ノードで構成される。島は、ある概念や主張を示し、橋は島と島の関係を説明している。今までの私の研究では、この橋の単語による島と島の関係の希少性に着目し、新たなシナリオやアイデアを創発する実験を行い、その後特許申請まで結びつく新しい製品開発のシナリオを創発する事に成功した。この実験で得た結果を更に進展させ、実データにダミーデータを入れて、KeyGraphにてアニーリング(焼成)させ、実データだけを結晶化させ、いくつかのクラスターのみ結晶化する。
その結晶化したクラスター間を、ダーミーデータのノードで結合させたものから新たなシナリオやアイデアを創発させるものである。(呼称:データクリスタライゼーション)
すなわち、結晶化されたクラスターは、ある概念や主張を示している。そのクラスター間を結合するダミーデータ(謎)に想起される単語を挿入し、概念結合を行い合成するのである。それにより、新たな概念が創出できると共に、それを契機にその概念を探索して新たなシナリオやアイデアが創発される可能性を高めることを期待する。
先行研究では、概念結合による新たな概念を生成または創発するプロセスをモデル化することであったが、我々は新たなツールにより具体的な新たなアイデアやシナリオの創発を促進させることを試みる。

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