Sunday, February 12, 2006

アフォーダンス理論と実験条件について

最近、「アフォーダンスの心理学(生態心理学)」に関連した書籍を読んでいますが、Edward S. Reedの「アフォーダンスの心理学」に記述されていた臨床心理学のロールシャッハテストでは、被験者にはっきりした構造のない図を提示して、そこにどのような秩序を読み込んだかということから、被験者の心理的な過程の経緯と図からどの様に意味を構成したかが分かる。また、Shepardの「刺激図の心的変形」の実験で、提示される刺激図はある構造をもつが、そこになにか特定のものが欠けているので、被験者は欠けている特定のものを構成することを求められる。(Shepard、1982) また、ある実験では図形が特定の起動で動かされるが、被験者はその終点しか見ることが許されないので、被験者は残りの軌道を自分で「補完」する。これは、心理的な過程の機能とは、構造や意味が無い状況に構造や意味を付加することである。この考えは、John Stuart Millの「推論」の概念(John Stuart Mill,1843/1981)、そしてその概念を受け継いだヘルマン・フォン・ヘルムホルツの「無意識的推論」へと引き継がれている。従来の認知心理学では、「刺激ー反応」という枠組みで捉えている。J.J.Gibsonは、環境に実在する、知覚者にとって価値のある情報を「アフォーダンス」と名付け、動物は情報に反応するのではなく、情報を環境に探索し、知覚・発見し、行動の判断基準として位置づけ、意思決定を行い行動すると提唱している。

KeyGraphのグラフ図の解釈の容易さ段階を確認するために、クラスターの数を増やした複数のグラフ図を被験者に示し、各々解釈を行わせ、解釈しやすい図を選定させる実験を行う予定である。
この「アフォーダンスの心理学」から考えると、被験者が、グラフ図に現れる高頻出度単語やクラスターの位置が各々の図で変わることにより、解釈の容易さの判断に影響が出るのを避けなければならない。そのためには、ある程度高頻出度の黒ノードやクラスターの位置を固定する必要がある。
それにより、被験者の注意点が新たなクラスターやそれを結びつける赤ノードの出現による差異を感じた上で、解釈の容易さを知覚してもらうのが良いのではないか思う。

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